【9月13日 AFP】12日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)女子シングルス決勝で四大大会(グランドスラム)3勝目を挙げた大坂なおみ(Naomi Osaka)が試合後、テニス選手以上の存在として知られるようになりたいと話し、今後も反人種差別の取り組みを続けていく考えを示唆した。

 日本とハイチにルーツを持つ大坂は、米国で構造的な人種差別や警察の暴力の犠牲になった人々に敬意を表し、今大会では全7試合で毎回異なるマスクをつけた。

 大坂は、ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察に殺害された事件をめぐり全米で抗議運動が広がっていた時期と重なった、新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)期間中に考える時間があったといい、それが政治に目覚めることにつながったと明かした。

 この日、ビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)を1-6、6-3、6-3の逆転で下した試合後、大坂は「間違いなく重要な数か月だったと言える」「私の人生は常にテニス一筋で、前回(2018年)全米オープンを勝ってからは特にそうだった。(全米優勝で)物事が加速し、歩みを緩めるチャンスは全くなかった」と語った。

「隔離期間は間違いなくいろいろなことを考える機会になった。何を成し遂げたいかや、どのように人々に自分のことを記憶してもらいたいかとか。今大会、もしくは直近の2大会は、そうした心持ちで臨んだ」

 大坂が活動家としての立場を示したのは、全米オープンの前哨戦として行われたウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2020)が最初で、ここではウィスコンシン州で黒人男性のジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さんが警察に銃撃されたことに抗議し、準決勝の欠場を示唆。米警察によって繰り返される黒人への暴力には「吐き気」がし、「うんざりしている」と語った。

 大坂の意向を受け、女子テニス協会(WTA)と男子プロテニス協会(ATP)はすべての準決勝を1日延期。それによって大坂自身も思い直し、出場することになった。