【9月13日 AFP】(更新、写真追加)全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)は12日、女子シングル決勝が行われ、大会第4シードの大坂なおみ(Naomi Osaka)は1-6、6-3、6-3でビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)を逆転で下し、自身通算3度目となる四大大会(グランドスラム)制覇を遂げた。

 1時間53分で勝利し、2年前の全米オープン(US Open Tennis Championships 2018)と昨年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2019)に続くグランドスラム3勝目を挙げた大坂は、「すごく楽しめたわけではなく、本当にきつい試合だった」とコメントした。

 序盤は31歳のアザレンカが、高い成功率を記録したファーストサーブで大坂を圧倒。わずか26分で第1セットを獲得した。

 第2セットも最初はゲームカウント2-0でアザレンカが先行したが、「とにかくこのまま1時間もたずに負けたらすごく恥ずかしいと思ったから、できる限り頑張って、良くない姿勢をやめるしかなかった」と話した大坂はそこから奮起し、2回のブレークを奪って4-3と逆転に成功した。

 これで一気に流れを呼び込んだ大坂は、さらに三つ目のブレークを奪って最終セットに持ち込むと、第4ゲームでブレークに成功して先にこう着状態を脱し、3-1とリードした。続くゲームは0-40としてアザレンカに息を吹き返す絶好のチャンスを与えたが、3本のブレークポイントを切り抜けて4-1とリードを拡大した。

 試合に踏みとどまろうと粘るアザレンカも、次のゲームで4本のブレークポイントをしのいで2-4とし、続く第7ゲームはブレークを奪って次のサービスゲームをキープすれば試合を振り出しに戻せるところまで来た。しかし大坂も、すぐさまブレークバックに成功してサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップのチャンスを手に入れると、最後はアザレンカのショットがネットにかかり、2本目のチャンピオンシップポイントをものにして優勝をつかんだ。

 試合を終えた大坂は、アザレンカとラケットを合わせるあいさつを交わした後、コートの真ん中に寝転がり、空を見上げて優勝をかみしめた。

「マッチポイントの後にみんなが倒れ込むようになることがある。でも、いつもけがをしてしまうんじゃないかと考えて、安全に寝転びたかった」

 大坂はコートに入る際、2014年に米オハイオ州クリーブランド(Cleveland)で白人の警察官に射殺された黒人の少年タミル・ライス(Tamir Rice)君の名前が入ったマスクを着けていた。

 人種差別や警察の暴力の犠牲になった人に敬意を表し、大会を通して毎回異なるマスクを着用してコートに入場してきた大坂は、これまでにブリアンナ・テイラー(Breonna Taylor)さん、エライジャ・マクレーン(Elijah McClain)さん、アマード・アーベリー(Ahmaud Arbery)さん、トレイボン・マーティン(Trayvon Martin)さん、ジョージ・フロイド(George Floyd)さんの名前入りマスクを着用していた。

 一方でアザレンカは、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)に敗れた2013年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2013)以来となるメジャー大会の決勝に駒を進めていた。

 2度のグランドスラム制覇を誇るアザレンカは試合後、「私についてきてくれて、信じてくれた陣営に感謝したい」「ここまで来るのは長い道のりだったけれど、楽しかった」と振り返った。(c)AFP/Peter HUTCHISON