【9月11日 AFP】フランス検察当局は10日、約20人のフィギュアスケート指導者がここ数十年にわたってレイプや性的暴行に及んでいた証拠を同国の女性権利・都市・青少年・スポーツ省から受け取り、疑惑の捜査を開始したと明らかにした。

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 当局は今回の捜査について、他の被害者や加害者の可能性がある人物を特定することも目的であると説明した。仏フィギュアスケート界では、元五輪メダリストであるサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんの告発をきっかけに、複数のスケート選手が声を上げている。

 1月に出版された著書の中で、アビトボルさんは15歳から17歳だった1990年から1992年にかけて、元コーチのジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏からレイプされていたと告白した。

 当時フィギュアスケートの仏代表チームで監督を務めていたベイヤー氏は、2000年にスポーツ省の調査対象となって職務を解任されたものの、クラブレベルで指導を続けることは認められていた。

 一方、20年以上にわたりフランス・アイススポーツ連盟(FFSG)の会長を務めていたディディエ・ガイアゲ(Didier Gailhaguet)氏も、アビトボルさんが告発した数週間後に辞任に追い込まれたが、虐待行為の存在については把握していなかったとの主張を貫いている。

 しかしスポーツ省は先月、独自の捜査と数十人への聞き取りの結果、21人の指導者に関する証拠が見つかったと公表。その半数以上がセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)をしたとされており、残りの数人についても「肉体的、もしくは言葉での暴力」があったとされている。

 元フィギュアスケート選手で3月にFFSGの会長に選出されたナタリー・ペシャラ(Nathalie Pechalat)氏は、今回のニュースを歓迎しており、AFPの取材に対して、「良い兆候だ」「疑惑の目が向けられ、これらの行為が処罰に値する行為であると全員が認識することによって、われわれはスポーツ界における暴力と闘うことができる」と述べた。(c)AFP