【9月6日 AFP】(更新)全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)で5日、新型コロナウイルスの陽性反応が出た選手との濃厚接触がありながらも、出場を続けていた選手が州の保健関係者の介入により大会から除外され、大会側のウイルスへの対応が物議を醸している。

 隔離を指示されたのは女子のクリスティーナ・ムラデノビッチ(Kristina Mladenovic、フランス)で、ムラデノビッチは前週の検査で陽性となったブノワ・ペール(Benoit Paire、フランス)と濃厚接触していた。同選手はティメア・バボス(Timea Babos、ハンガリー)とのペアで女子ダブルスの第1シードに入っていたが、除外されることになった。

 全米テニス協会(USTA)は「感染した選手と長時間、近くで接触したことが特定された人間は全員、ホテルの部屋で残りの隔離期間を過ごすことになる」「クリスティーナ・ムラデノビッチもその一人で、女子ダブルスはすでに始まっているが、彼女とティメア・バボスのペアは棄権となる」と発表した。

 協会によれば、対象選手がホテルと会場であるビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター(USTA Billie Jean King National Tennis Center)とを行き来するのを禁じる通達を現地の公衆衛生担当者が出したという。協会は「州、市、郡のレベルを問わず、政府の指示に従う義務がある」と話している。

 州の保健当局の担当者は、今回の決断について「健康と安全のため」としているが、ムラデノビッチの同胞であるアリーゼ・コルネ(Alize Cornet)は「残酷だ」と述べ、「シングルスもダブルスも1回戦の試合には出られたのだから明らかにおかしい。今になって突然追い出されるなんて」と指摘した。

 当局は今回のショッキングな介入の前日にも、同じくペールと接触していたアドリアン・マナリノ(Adrian Mannarino、フランス)の男子シングルス3回戦出場に待ったをかけようとしていた。

 今大会では、ペールが陽性反応を示して棄権したことを受け、マナリノとムラデノビッチらフランスの選手を中心とした11人がニューヨーク市当局との合意書に署名し、出場を認められる代わりに毎日の検査やホテルの共用部分の使用禁止など、他選手よりも厳しい対策の順守を義務付けられていた。(c)AFP/Peter HUTCHISON