【8月9日 AFP】レバノンの首都ベイルートで8日、過去数か月で最大となる反政府デモが行われ、参加者が複数の政府機関を襲撃した。同市港湾地区で4日に起きた大爆発の原因が政府の過失にあるとみられており、この襲撃は計画的に実施されたとみられる。

 8日には、爆発で死亡した158人の一部の葬儀が行われたが、その後デモが激化し、暴動と化した。

 デモの中心地である殉教者広場に集まった大規模な群衆に治安部隊が目を向ける中、退役軍人らが率いる集団が外務省にひそかに侵入し、この建物が「革命本部」だと宣言した。

 レバノンでは、昨年10月17日に反政府デモが勃発したものの、最近は勢いが弱まっていた。しかし、大爆発の衝撃波で外務省の建物が被害を受けて侵入しやすくなり、デモの戦略に新たな進展がもたらされた。

 だが占拠はわずか3時間ほどしか続かなかった。大規模な軍の増援部隊が出動し、ゴム弾や催涙ガスを使用しておよそ200人のデモ隊を排除した。

 また別のデモ隊は、経済・貿易省やレバノン銀行協会(ABL)本部、エネルギー・水資源省の建物を襲撃したが、すぐに軍によって強制排除された。レバノンではここ数か月、国の実質破綻を受けて過去最悪規模の停電が発生しており、国民はとりわけエネルギー・水資源省に対して怒りを抱いていた。

 一時はデモ隊が主要な当局の建物4か所を襲撃または占拠したものの、午後10時半(日本時間9日午前4時半)までにデモ隊は解散し、治安部隊が市内各地に動員された。

 警察によると、警官1人が「暴徒」による「攻撃」で死亡した。この他に数十人が負傷し、大爆発による負傷者や新型コロナウイルスの患者であふれている病院で治療を受けた。(c)AFP/Layal Abou Rahal and Tony Gamal-Gabriel