【8月6日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)のスター選手であるレブロン・ジェームズ(LeBron James)は5日、国歌演奏中に膝つき行為をした選手は「恥知らず」だと発言したドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に反論した。

 新型コロナウイルスによる4か月の中断が明け、フロリダ州オーランド(Orlando)のバブル環境でリーグ戦が再開される中、ジェームズはレイカーズがオクラホマシティ・サンダー(Oklahoma City Thunder)に86-105で敗れた試合後、トランプ氏の発言に苦言を呈した。

 トランプ氏は、19世紀に奴隷を解放した第16代大統領のエーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)氏を除けば、自身がどの大統領よりも黒人社会のために手を尽くしてきたと発言したが、このことを尋ねられたジェームズは、笑みを浮かべながら「笑わせようとしているのか? 感謝するよ」と答えた。

 トランプ氏は米FOXニュース(Fox News)に対し、国歌演奏中に選手が膝をつく姿を見たときは顔を背けると語った。

 選手たちは警察の暴力や社会的不公正に抗議するためのアクションであり、国旗や軍隊、国家を侮辱するものではないと主張しているが、トランプ氏は「恥知らずだと思う」「われわれは(NBAと)連携しており、彼らをオープンにしようと懸命に取り組んでいる。それでも、選手が国歌演奏中に膝つきをしているのは受け入れられない」とコメントしていた。

「選手が膝をついているのを見たら試合を消す。一切の興味がなくなる。膝をついたり、国旗や国歌を侮辱したりする選手がいれば、個人的には試合を見るのをやめる」

 これに対してジェームズは、トランプ氏は無理して再びNBAを見ようとする必要はないと話した。

「彼のような視聴者を失ったり、彼が試合を見なくなったりしても、バスケットボール・コミュニティーが悲しむとは全く思わない」「彼が見ていなくてもリーグは進んでいく。ここに座って、バスケットボールを愛してやまないすべての人のために話すことはできるが、自分たちにとってはどうでもいい」

 さらにジェームズは、NBAには国際的な支持やリスペクトがあると話し、「自分たちのリーグは素晴らしいポジションにあり、世界中にファンがいる」「ファンたちは自分たちがバスケットボールにもたらそうとするものを愛し、尊重し、善悪を判断してくれる」

 またNBAは同日、黒人コミュニティーにおける経済力強化を目的とした基金を設立し、各チームのオーナーが今後10年にわたって総額3億ドル(約316億8000万円)を寄付すると明かした。

 全30クラブのオーナーは、人種的平等と社会的正義を支持するための初期資金として、年間3000万ドル(約31億6000万円)を10年にわたって選手協会(NBPA)と共同で立ち上げたNBA基金(NBA Foundation)に拠出する。(c)AFP