【8月2日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は1日、「命を落とした十数万人の米国人」のために全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)の出場を辞退すると明かした。

 先週、女子世界ランキング1位のアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の「重大なリスク」があるとして、米ニューヨークで開催される四大大会(グランドスラム)の出場辞退を発表。キリオスは同胞に続く形となった。

 キリオスはツイッター(Twitter)に投稿した動画で、「愛するテニスへ。今年の全米オープンではプレーしない。この決断は自分の核となる部分を傷つけた」と話した。「だが俺は人々のため、オージーのため、命を落とした十数万人の米国人のため、そしてあなた方すべてのために参加しないんだ」

 頑固者として知られるキリオスは6月、今月31日に本選が開幕する全米オープンを予定通り開催しようとしている男子プロテニス協会(ATP)を「身勝手」だと批判。世界40位ながらも大会の目玉となっていた。

 またキリオスは、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が主催したエキシビション大会のアドリア・ツアー(Adria Tour)に出場した選手の「愚かさ」とリスクの高い振る舞いを批判し、SNS上でバトルを繰り広げている。

 同ツアー参加選手は、ジョコビッチをはじめグリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)、ボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)、ヴィクトル・トロイキ(Viktor Troicki、セルビア)が相次いで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性が判明している。

「テニス選手たちへ。お互いのために行動し、皆で力を合わせなければならない」と呼びかけたキリオスは、「テーブルの上で踊るようなことはしてはいけない。拝金主義に走ってはならないし、エキシビションを主催して手っ取り早く金もうけしようとしてはならない。それはただのわがままだ」と見解を述べた。

「一度は他人のことを考えろ。このウイルスとはそういうものだ。世界ランキングや銀行に貯金がいくらあるかなんて関係ない。責任を持って行動しろ」 (c)AFP