【7月29日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は28日、北朝鮮で脱北に失敗した女性に対する性的虐待が横行していると非難する報告書を発表した。

 北朝鮮では国民に厳しい移動制限が課されており、法に反して国境を越えた者は拘束され、処罰の対象となる。

 OHCHRは100人を超える女性脱北者に韓国で聞き取り調査を実施。女性らは全員、脱北に失敗した経験があり、連れ戻された後に公安や警察当局から性的暴行を受けたり、裸にされたり、堕胎を強要されたりしたと証言したという。

 報告書の筆頭著者であるダニエル・コリンジ(Daniel Collinge)氏によると、脱北に失敗して北朝鮮に連れ戻された者には体腔(たいこう)検査が行われ、「体内に隠している物がないか確認するために全裸にされ、スクワットとジャンプを繰り返しさせられる」という。

 また、脱北未遂者の収容施設では強制的な堕胎も行われているという。ある女性は「妊娠3か月と5か月の女性がいたが、ひどく蹴られ、収容施設を出る頃には子どもを失っていた」と証言している。

 さらに看守らによるレイプも横行していたが、口外すれば食事を与えられないなどの追加の罰を受けるため、それについて施設内で話す者はほとんどいなかったという。

 国連はこれまで北朝鮮について、拷問や超法規的殺人、収容所の設置など「組織的および広範囲で大規模な」人権侵害を行っていると非難している。(c)AFP