【7月14日 AFP】韓国の裁判所は14日、自身の従業員らに暴行を繰り返した罪に問われていた大韓航空(Korean Air)社長の母親に対し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

 有罪と認められたのは、大韓航空を傘下に置く財閥の韓進グループ(Hanjin Group)を率いる趙一族の家長的立場にある、李明姫(イ・ミョンヒ、Lee Myung-hee)被告(70)。

 李被告の夫の趙亮鎬(チョ・ヤンホ、Cho Yang-ho)氏が昨年死去し、息子の趙源泰(チョ・ ウォンテ、Cho Won-tae)氏が同グループの会長に就任している。

 趙一族に対しては、暴行や横領、高級品の密輸といった複数の犯罪捜査や、韓進グループ内の権力闘争をめぐり、近年厳しい目が向けられている。

 李被告は、自身の運転手や家政婦、建設作業員など従業員らに対し、暴言や殴る蹴るなどの暴行、はさみを投げ付けるなどの行為に及んだとして、複数の罪に問われていた。

 首都ソウルの中央地方法院(地裁に相当)は14日、李被告に懲役2年の有罪判決を言い渡したが、同被告の年齢と被害者らが実刑を望んでいないことを考慮して執行猶予3年とし、80時間の社会奉仕活動を義務付けた。

 聯合(Yonhap)ニュースによると、同法院は「グループ会長の妻という李被告の立場に照らせば、運転手や家政婦という立場の被害者らには、李被告の不当な行為に耐える以外の選択肢はなかった」と指摘。

 一方で、李被告が「自らの責任を認めた」上で被害者らと和解に至っていることを、量刑の判断要素として考慮したとしている。(c)AFP