この写真に写っているのは4月12日にロサンゼルスで、食品配給を受けるために並ぶ人々である。ロサンゼルスのあるカリフォルニア州では、3月19日に「外出禁止命令」が発せられた。
感染のリスクは防ぐためには「家から出ない」というのが最善の選択であるが、人間が外部から栄養を摂取しそれによって生きる生物である以上、食料を入手しなければならない。写真で食料の配給に並んでいるのは社会的に弱い立場にある人たちだと推測され、子連れの親子も見られる。
この写真を見たとき、生きるため、生活していくために配給の列に並ぶ人たちもまた戦っているのだと感じた。感染のリスクを防ぐために外出は避けたい、しかし生きるために外出しなければならないという葛藤。そういったものの中で戦っている人たちがいるということに気づかせてくれた一葉であった。こういった人たちを経済的に支援することこそ、コロナウイルスに対する「勝利」への近道ではないか。
[早稲田大学 石山 和敬]