【6月27日 AFP】仏高級ファッションブランド「エルメス(Hermes)」のハンドバッグを偽造・販売した罪に問われている犯罪ネットワークのメンバーらへの裁判で、パリ検察当局は26日、首謀者らに対し実刑を求刑した。同組織には、エルメスの元従業員らも含まれていた。

 同組織の存在は、アジアで盗品のハンドバッグを販売した疑いが持たれていた男の自宅を仏警察が盗聴した際に浮上。同組織は2013~2014年、パリを訪れたアジア人観光客や香港在住の顧客らをターゲットに偽造品を販売していた。

 捜査の結果、この組織のメンバーらが自宅で、エルメスが製造するもので最も人気が高く、また最も利益が多いハンドバッグ「バーキン(Birkin)」の偽物数十点を製造したことが判明。

 英国出身の女優ジェーン・バーキン(Jane Birkin)の名前を冠したこのバッグのうち、ワニ皮を使用したものは1点4万ユーロ(約480万円)超と特に高額だが、順番待ちのリストには購入希望者の名前がずらりと並んでいる。

 今週開かれた公判に出廷した被告10人のうち、7人はエルメスの元従業員だった。

 検察は、被告らが偽造バッグを1点2万~3万ユーロ(約240万~360万円)で販売し、年間約200万ユーロ(約2億4000万円)を荒稼ぎしていたと主張。

 エルメスの元従業員らは、イタリアの業者から仕入れたワニ皮と、エルメスの工房から持ち出したジッパーや部品を使って偽造品を製造していた。

 カンボジア出身で1980年に渡仏した52歳の女は、偽造バッグ販売の他、本物のバーキンを高額で転売していたとされ、捜査員らに対し顧客らは偽造品と知って購入していたと話したことが法廷で明らかになった。

 公判は26日に結審し、検察は首謀者3人に最長4年の実刑と10万~20万ユーロ(約1200万~2400万円)の罰金、他のメンバーらに執行猶予付きの禁錮刑と罰金刑を求刑した。(c)AFP