【6月16日 AFP】在韓米大使館は15日、人種間の平等を求める世界的な運動となっている「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」に連帯を示すものとして掲げていた横断幕を撤去した。一緒に掲げられていたLGBTQ(性的少数者)を象徴する虹色の旗「レインボーフラッグ」も同じく撤去された。ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権との対立があったとみられている。

「黒人の命は大切」をスローガンとした運動は、米ミネアポリス(Minneapolis)で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官による拘束中に死亡した事件をきっかけに世界に広がっている。

 在韓米大使館は13日、大使館の壁に掲げられた横断幕について、「より包容力のある公正な社会を目指し努力する中で、人種に基づく不公正と警察の暴力に対する闘いへの支持を表明するもの」とフェイスブック(Facebook)の公式ページで説明した。

 この横断幕の掲示に関し、ハリー・ハリス(Harry Harris)駐韓米大使は故ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領の「われわれは多様性から力を得る」という言葉を引用していた。

 しかし同大使館広報によると、米太平洋軍司令官を務めたハリス氏は、「米国民の税金が何らかの組織・団体に使われているという誤解を避けるために」掲示の決定を覆し、横断幕の撤去を命じたという。

 大使館広報はさらに、「これは決して横断幕の掲示によって表現された理念や理想を減じるものではなく、本大使館は本国が迎えているこの困難な時代に、米国の基本的な価値観を伝える他の方法を模索していく」と述べている。

 米CNNは匿名筋の情報として、マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官から横断幕撤去の要請があったと報じた。

 在韓米大使館は並んで掲げられていたレインボーフラッグも撤去したが、米最高裁はその数時間後、性的指向に基づく労働者の差別を違法とする画期的な判決を下した。

 ポンペオ氏は大使館のポールには米国旗のみを掲揚するよう命じたという。だが「黒人の命は大切」の横断幕もレインボーフラッグもポールではなく、在韓米大使館の壁面に掲げられていた。(c)AFP