【6月12日 AFP】(写真追加)古代のワニは、現代のワニと同じく四足歩行していたと長い間考えられていたが、実際は2本足で歩き回っていた可能性があるとの新たな研究論文が11日、英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。

 中国、オーストラリア、米国の研究者からなるチームは、現在の韓国にある晋州層(Jinju Formation)から発見された足跡を分析した。この地層は豊かな考古学的発掘現場となっており、これまでにも1億2000万年前にさかのぼるトカゲやクモの古代種や小型恐竜が発見されている。

 韓国の晋州教育大学校(Chinju National University of Education)の金景洙(キム・ギョンス、Kyung Soo Kim)氏によると、発見された足跡は新種のワニの祖先のもので、2本足で「綱渡り」をするように歩いていたと考えられているという。ワニは「バトラコプス・グランディス(Batrachopus grandis)」と名付けられた。

 研究チームは当初、この足跡は6600万年前まで地上を歩き回っていた翼竜のものと考えていたが、そうではなく、ワニ形上目(crocodylomorph)に属する特に大きなワニの足跡である可能性が高いことが分かったという。

 足跡は24センチほどで、豪クイーンズランド大学(University of Queensland)の古生物学者で論文共著者のアンソニー・ロミリオ(Anthony Romilio)氏によると、そのワニの脚の長さは人間の成人の脚と同じぐらいだと考えられるが、体長は3メートルを超えていたという。これは、同時期の近縁種の約2倍の大きさだ。

「バトラコプス・グランディス」は足をべったり地面につけ、かかとを人間のように地面にめり込ませて歩いたため、深く幅の狭い跡を残したとみられる。復元模型からは、その重心が低かったことが分かる。

 前足の跡がないこと、尻尾を引きずった跡が残されていること、歩幅が狭いことが、二足歩行を示唆しているとロミリオ氏は語った。(c)AFP/Phineas Rueckert