【6月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、同国ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手に対し、膝をつくのは米国を「侮辱する」ような行為であるとして、試合前の国歌演奏時には起立するように改めて要求した。

 NFLのロジャー・グッデル(Roger Goodell)コミッショナーは5日、サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元QBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が最初に始めた膝つき抗議へのリーグの認識が間違っていたと認め、選手たちによる「平和的な抗議」を支持すると表明した。

 これに対してトランプ大統領は7日夜にツイッター(Twitter)で、NFLは今度から国歌演奏時に選手が膝をつくのを認めるつもりかと問いかけ、「平和と和解に関する少しばかり興味深いロジャー・グッデル氏のコメント文は、国歌演奏時に選手たちが膝をついたり起立しなかったりしてこの国や国旗を侮辱することを、今や間接的に認めるということか?」と疑問を呈した。

 国歌演奏の際に膝をつく行為について、これまでNFLの選手は人種差別や警察の蛮行への抗議が目的であり、トランプ大統領や保守派層が批判しているように、米国や軍に向けたものではないとの立場を繰り返し明確にしてきた。

 キャパニックをはじめ膝をついている他の選手について、トランプ大統領は2017年に解雇すべき「クソ野郎」と呼び論争に火を付けた。すると2018年にはNFLが、選手の膝つきを禁止してキックオフの前には「起立して国旗に敬意を払うこと」を義務付ける規則の導入を打ち出したが、その方針はのちに保留となっていた。

 米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が警察の拘束下で死亡するという衝撃的な事件が起きた先月25日以降、全米に抗議デモの波が拡大している中、グッデル氏は選手たちの抗議の声に耳を傾けなかったのは誤りだったとの認識を示した。

「われわれナショナル・フットボール・リーグは、人種差別や黒人への組織的弾圧を糾弾する」「われわれナショナル・フットボール・リーグは、以前に選手たちの声に耳を傾けなかったのは間違いだったと認め、全ての人々が声を上げて平和的な抗議をするように後押しする」 (c)AFP