【6月5日 AFP】男子テニス、世界ランキング2位のラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は4日、ツアーは「完全に安全な状況になるまで再開は無理」とした上で、仮に全米オープン(US Open Tennis Championships 2020)が今週開催されていたとしたら出場していないだろうとの考えを示した。

 昨年の全米オープンで通算4回目の大会制覇を果たし、自身19度目の四大大会(グランドスラム)優勝を成し遂げたナダルは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が、3月中旬から中断されている今季のカレンダーに今も大きな不安要素をもたらしていると語った。

 ナダルは報道陣とのテレビ会見で、「すべての選手の健康にとって完全に安全で公平な状況になるまで、シーズン再開は無理だ。選手たちがどこにいようとも、安全な状況で渡航し、大会でプレーできるようにしなければ」と語った。

「(8月31日に本戦開幕予定の)全米オープンできょうプレーしろと言われたら、自分は『ノー』と言うだろう」「数か月先なら分からない。そう願っている。人々が普通の生活を取り戻すまで待つ必要がある。そうなるには、ウイルスの進展を見極めなければならない」

「世界で起きていることと、テニスに関する自分の考えを分けるのは非常に難しい。数週間前に自分がかなり悲観的だったのは、そういうわけだ」

 今季のテニス界は男女ともに3月からスケジュールが凍結状態となっており、ツアーは早くても7月末まで再開されない見通しとなっている。ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2020)は第2次世界大戦(World War II)後では初めて中止となり、全仏オープン(French Open 2020)は当初の5月〜6月の日程が9月〜10月に変更された。

 例年であれば、ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)は今ごろ2週目の終盤に入っており、ナダルも通算13回目のトロフィー獲得を期待されているはずだった。しかしながら、たとえグランドスラム史上最多となるロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)の通算20勝に手が届く可能性があっても、ナダルにとって事態はより複雑で重要な問題となっている。

 3日に34歳になったナダルは、「自分の考えとしては、このパンデミックで世界が被害を受けていて、たくさんの人が死んでいるときに、世界中から大勢が集まる大きなスポーツ大会を開催することは想像できない」と語った。

 全米オープンは開催される予定だが、現地ニューヨークは米国において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による危機の中心地となっており、開催の可否については現時点で不透明な状況となっている。

 日程が変更された全仏オープンと同様に、全米オープンもウイルス感染のリスクを減らすために無観客で行われる可能性があり、ナダルは「正直なところ、その案(無観客開催)はかなり気に入らないが、それが唯一の解決策ならば仕方がないだろう?」と話した。(c)AFP