【5月30日 東方新報】中国自然資源部が8日に発表した「2019年中国海洋経済統計公報」によれば、昨年の中国全国の海洋総生産は8兆9415億元(約134兆6143億円)、前年比6.2%増になった。海洋総生産とは漁業、海洋石油・天然ガス、海洋鉱物、海洋交通運輸、ビーチリゾート、海洋建築、海洋塩業、海洋公益サービス、海洋教育、海洋環境保護…などおよそ16項目に分類される海洋経済産業から生まれる総生産値だ。

 国家海洋情報センターの何広順(He Guangshun)主任によれば、中国の海洋経済規模は順調に拡大しており、この10年で倍増した。海洋経済の国民経済成長への貢献率は9.1%に上り、国民経済成長を0.6ポイントアップさせているという。特に沿海地区の生産値の比重が3年連続で上昇しており、2019年は17%を超えた。同時に中国海洋経済構造は年々最適化しており、特に海洋サービス業がその安定剤的役割を強めている。2019年、中国海洋第一産業は3729億元(約5兆6000億円)増加、第二産業は31987億元(約48兆円)増加、第三産業は53700億元(約81兆円)増加している。海洋総生産値に占める割合はそれぞれ4.2%、35.8%、60%となる。

 公報によれば、2019年、中国主要海洋産業は安定的に成長しており、中でも海洋漁業の複合的な成長、養殖と漁業の構造の最適化が顕著だ。また海洋電力業分野では海上風力発電の規模が少しずつ拡大。また海水を淡水化する海水理利用産業も良好に発展中という。

 こうした海洋産業総生産の発展の背景には、習近平政権の打ち出す一帯一路(Belt and Road)戦略の一つの柱である「海上シルクロード構想」の発展の影響がある。海上シルクロード沿線国家との海運貿易総額前年比4.6%増で、うち輸出が6.7%増、輸入が1.6%増となった。また海産品の輸出入も好調で、海産品の貿易総額は637億ドル(約6兆8000億円)にのぼった。

 また、広東香港マカオグレートベイエリアと海南自由貿易テスト区などの重大戦略を受けて、南部海洋経済圏の発展スピードが目覚ましい。北部、東部、南部の海洋経済圏の総生産値はそれぞれ2010年比で1.9倍、2.1倍、2.8倍となった。

 大陸国家のイメージが強い中国だが、10の沿海省・市にそれぞれ主要な港湾都市をもち、地方レベルでも海洋経済発展計画を策定しており、海洋国家としての存在感はいまや国際社会も注目している。(c)東方新報/AFPBB News