【5月20日 Xinhua News】中国初の盲導犬訓練基地、中国導盲犬大連培訓基地はこのほど、ネットを通じて「クラウド飼育」ライブ配信を行い、大勢の人に盲導犬訓練の様子を伝えた。同基地は新型コロナウイルスの影響で資金繰りがひっ迫しており、目の不自由な人々の生活を照らす光となる盲導犬をより多く訓練するため、社会に向けて支援を募るライブ配信を企画した。

 ライブ配信には、10万人を超える視聴者が「いいね!」を送り、2時間のライブで盲導犬の2週間分の食費が賄える募金が集まった。

 中国盲人協会によると、中国全国の視覚障害者1700万人余りに対し、盲導犬は数えるほどしかいないという。同基地は2006年に設立され、毎年120頭余りの盲導犬を訓練しているが、盲導犬の「ライセンス」を得て任務に就く犬は30頭前後にすぎない。盲導犬1頭を育てるには約1年半かかり、年間約20万元(1元=約15円)が必要。公益事業を行う非営利機関の同基地は、盲導犬を申し込む視覚障害者からいかなる費用も徴収しない。

 同基地行政部の張珣(Zhang Xun)部長は、訓練「卒業」の盲導犬1頭につき6万元が大連市(Dalian)の財政から補助金として支給されるが、不足分は企業や個人からの寄付に頼っているため、資金はひっ迫していると説明。今年は新型コロナの影響で、視覚障害者に基地に来て学んでもらうことができず、上半期に訓練を終えた盲導犬はわずか数頭で、補助金も減って特に苦しいという。

 盲導犬が視覚障害者の誘導をできるようになるためには、30種類の命令に従うことをマスターし、5カ所以上の目的地を記憶する必要がある。盲導犬業界は訓練士不足や資金不足などの問題で発展が遅れている。

 統計によると、中国で視覚障害者を支援している盲導犬の数は現在、約200頭前後で、需要とはかけ離れている。張氏は盲導犬訓練基地の数は年々着実に増加しているものの、全国の視覚障害者の需要を満たすためにはより多くの社会的支援が必要だと訴えている。(c)Xinhua News/AFPBB News