【4月16日 AFP】メキシコの保健省は14日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で亡くなった人の遺体の火葬を禁止すると発表した。麻薬取引をめぐる行方不明者数万人の捜索活動を妨げないようにするためだとし、コロナ犠牲者の遺体を火葬することが「好ましい」と勧告していた政府のこれまでの指針を覆した。

 政府の新型コロナウイルス対策を担当するウゴ・ロペス・ガテル(Hugo Lopez-Gatell)保健次官は、「重大な社会的悲劇である強制失踪が起きている国では、これは起きてはならないとする犠牲者のための法律が存在する」と述べ、「行方不明者捜索の可能性を、常に開いておく必要がある」と続けた。 

 保健省と内務省は数日以内に、火葬を禁止する同意書に署名する予定だ。

 メキシコではこれまでに5000人超の新型コロナウイルス感染者が報告され、406人が亡くなっている。

 同国では、麻薬カルテルの殺し屋や腐敗した権力者による犠牲者が痕跡もなく行方不明になるケースが頻繁に発生している。2006年以降、麻薬取引をめぐる行方不明者は6万人超に上っている。(c)AFP