【4月1日 AFP】フランスで看護師など医療従事者が、新型コロナウイルスへの感染を懸念する隣人や病人らから、匿名の手紙を送られたりあからさまに避けられたりするなど、疑念や嫌がらせの標的になっている。

　同国では毎日午後8時に、新型ウイルスと最前線で闘う医療従事者らに拍手が送られているが、家を出て行けと言われたり、さらにひどいことを言われたりしている医療従事者もいる。

　エドゥアール・フィリップ（Edouard Philippe）首相は先月29日、一部の医療従事者らに向けられる「恥ずべき言葉」を非難した。こうした言葉は、ソーシャルメディアに投稿されることが多い。

　パリの南東ブレンヌシュルセーヌ（Vulaines-sur-Seine）の看護師ルシールさんは先週、郵便受けに差出人不明の手紙が入っているのを見つけた。手紙には、買い物をする時は別の街へ行き、犬の散歩はやめろと書かれていた。

　他の数人と同様、姓を伏せることを条件に取材に応じたルシールさんは、「激怒した」「他人を助けるためにすでに自分の生活を犠牲にしているのに、ここではハンセン病患者のように扱われる」と憤った。

「これを書いたのが誰であれ、私がどれほど用心しているかまったく理解していないのは確かだ」と話すルシールさん。頻繁に手を洗うため、両手が「ぼろぼろ」になってしまったという。

「くよくよしないようにしている。でも、言うのは簡単だけど、実際にそうするのは難しい」

　ルシールさんはその手紙を市長に提示。市長が検察当局に通報し、捜査が開始された。

　フランスの看護師70万人が加入する看護師団体のパトリック・シャンボルドン（Patrick Chamboredon）会長は、「この種の出来事は今のところまれではあるが衝撃的だ」と話した。