【3月31日 AFP】米国の新型コロナウイルス流行中心地となっているニューヨークに30日、米海軍の病院船が到着した。米国では、死者数が今後大幅に増加するとの厳しい予測が出され、国民の生活を制限する緊急措置の延長が決定。ニューヨークでは、感染拡大のピークに対する備えが進んでいる。

 米海軍の病院船「コンフォート(USNS Comfort)」は28日、バージニア州を出発し、30日午前11時(日本時間31日午前0時)ごろにマンハッタンの埠頭(ふとう)に到着した。病床1000床と十数の手術室を備える同船は、コロナウイルス感染者の大幅な増加によって受け入れ能力が圧迫される病院の負担を軽減するため、ウイルス感染患者以外で集中治療を必要とする人の治療を担当する。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は当初、国民の生活を4月12日のイースター(Easter、復活祭)までに正常化したい意向を示していたが、この目標を断念し、感染リスクを抑えるために他人と一定の距離を保つ「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」の要請を4月末まで延長した。

 トランプ氏は29日、米国の死者増加ペースが今後2週間で速まるとの見通しを表明。国内の死者は最大20万人に達する恐れがあるとした米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長の予測を「恐ろしい」と形容した。

 米国で最も被害が大きく、感染者数のピークに備え時間との闘いを強いられているニューヨークは現在、病院の収容能力増強と、喫緊に必要とされる医療用具の調達を急いでいる。

 ニューヨーク州のアンドルー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事は30日、ニュース専門局MSNBCに対し、「ウイルスは初日から私たちの先を行っていた」と明言。流行は向こう2~4週間でピークを迎えると予測されていると述べた。(c)AFP/Peter HUTCHISON