【4月1日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に立ち向かう治療薬として、過去数十年にわたって使用されてきた比較的安価な抗マラリア薬、クロロキンとヒドロキシクロロキンが注目されている。

 この二つは、数世紀前からマラリア治療に使われてきたキナの木から採れるキニーネを化学的に合成した薬だ。二つのうち、安全性がより高いヒドロキシクロロキンは、リウマチ性関節炎や狼瘡(ろうそう)などの抗炎症薬として使われ、熱帯以外ではそちらの用途の方がまず知られている。

 二つは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬としてフランスと中国で行われた初期段階の試験で、期待できる結果が出ている。米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は23日、新型ウイルス感染症治療における「神からの贈り物」だと発言した。専門家らは大規模な臨床試験が必要だとして慎重だが、トランプ氏は先月、抗マラリア薬2種について緊急時の限定的な使用を許可した。

 このクロロキンとヒドロキシクロロキンとはどういう薬なのだろうか?

■臨床試験の結果は?

 中国が2月、COVID-19の患者134人を対象にクロロキンの臨床試験を行ったところ、症状の緩和がみられたという。ただしこの結果はまだ公式に発表されていない。

 フランスでは3月下旬、マルセイユ(Marseille)にある地中海感染症大学病院研究所(IHU-Mediterranee Infection)のディディエ・ラウルト(Didier Raoult)氏率いるチームが36人の患者を対象に試験を実施し、ヒドロキシクロロキンによってウイルス量が大幅に減少することを確認した。この効果は、細菌の二次感染の治療・予防に使われる一般的な抗生物質アジスロマイシンと併用した場合、特に顕著だったという。

 さらに実験室の環境では、クロロキンとヒドロキシクロロキンの薬剤が共にSARS-CoV-2(新型コロナウイルスの正式名称)に対して効果があることが証明されている。