【3月28日 AFP】東京五輪を2021年に延期した決断は、大会に巨額の資金を投じているスポンサー企業からも歓迎されると、英広告大手WPPの創業者マーティン・ソレル(Martin Sorrell)氏が語った。

 国際オリンピック委員会(IOC)は24日、国際的な圧力の高まりを受けて、今年7月24日から8月9日まで開催される予定だった東京五輪の日程を遅らせた。124年の歴史を持つ五輪にとって、平時において前例のない動きとなった。

 IOCコミュニケーション委員会のメンバーでもあるソレル氏は、AFPの電話取材に対して、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)とその影響による、他では戦時下でしかあり得ないような景気後退を踏まえれば、大会の延期は合理的な判断との見解を示した。

「現在の混乱状況からして、とにかく(地元および海外の)スポンサーは来年の開催が望ましいところだろう」「従って、この動きはスポンサー側にとっても良い解決策だ」

 2018年にWPPを去ったソレル氏は、IOCが大会の開催時期を春にする可能性を残している中で、会場や日程の再調整など数々のハードルが残されていると認めながらも、こうした変更に取り組む上で東京五輪の大会組織委員会が「極めて有能である」と確信している。

 その一方で、開催はもっと好景気になってからとの見通しも立てており、「今回の景気後退がこれまでとは違うか聞かれる。私としては前例のないものだと言える。比較できるのは戦時下だけだ」と述べた。

「これまでの人生で経験した中には、1980年代の石油危機や、2001年から2008年にかけてのITバブル崩壊などがあった」「これほど急激だったことはない。影響は残るだろうが必ず回復するはずだ」「今年の第2四半期はかなり厳しいものになり、第3四半期は少しましになり、第4四半期は良くなるだろうから、大会が開催される頃には景気回復の兆しがある程度見えるだろう」

 一方、IOCでマーケティング部門の責任者を務めていた経歴を持つマイケル・ペイン(Michael Payne)氏は、IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長と大会組織委員会が、それぞれのスポンサー企業の思惑に従って最終判断を下したという一部の見方について否定した。

 62歳のアイルランド人であるペイン氏は、AFPの取材に対して、「IOCの決定プロセスはスポンサーの指示によるものという考えは、事実とはかけ離れている」とすると、「企業側は情報は伝えられていても、助言は求められていないだろう」と述べた。

「しかしながら、決定は100パーセント競技の利害を考えてのことだったはず」「(五輪の放映権を持つ米テレビ局の)NBCは、開催地の決定権も持っていない」

 いわゆる五輪のTOPパートナープログラム (The Olympic Partner Programme、1985年にIOCが設立)に名を連ねるのは、微々たる投資では不可能となっている。コカ・コーラ(Coca-Cola)やゼネラル・エレクトリック(GE)などの現メンバーは、それぞれ1億ドル(約108億円)を優に超える資金を投じ、東京五輪のメインスポンサーとなっている。(c)AFP/Pirate IRWIN