【2月17日 AFP】米野球界を揺るがせているサイン盗み問題について、大リーグ(MLB)のロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーが16日、ヒューストン・アストロズ(Houston Astros)から2017年のワールドシリーズのタイトルを剥奪するのは「不毛」なことだと、自身の判断の根拠を明かした。

 米スポーツチャンネルESPNのインタビューに応じたコミッショナーは、アストロズから2017年の汚れたタイトルを剥奪するという前例のない処分を下すことも真剣に考慮したが、詳細な調査報告書を出した時点で、ファンの中でアストロズの優勝には永久に疑問符が付くことになるため、具体的な処分は「不毛」だと判断して剥奪には踏み切らなかったという。

「私の判断に至る過程では、幅広く話し合いと分析を行った」「タイトル剥奪も幹部との話し合いの大きな議題だったが、これは過去に例のないことだ。私は、物事には前例というものがあり、そこから逸脱するのであれば相応の理由が必要だという考え方を信奉している」

「MLBの報告で、今回の件の内幕が人々の知るところとなった。起こっていた出来事について、みなさん自身で判断できるようになった。そしてこの1か月、実際にその通りのことが起こっている」

「記録に注釈をつけたり、金属の塊の返上を要求する考えは、不毛に思える」「人々の中で、2017年は普段と異なるシーズンだったと記憶されていくし、判断の是非はともかく、われわれは徹底調査を行い、腹をくくって調査結果を共有した。その内容が気持ちの良いものではなかったとしてもだ」

 またコミッショナーは、アストロズの選手に直接処分を下さなかった点についても、開幕までの間にサイン盗みについて問い詰められ、罪を認めなくてはならないことで選手は苦しんでいると話している。

「選手もやったことの代償を支払うべきだという、人々の要求は理解できる」「私としては、選手たちや、公の場でこの件に対応しなければならない彼らの顔を見て、すでに代償は支払っていると思う」

 アストロズはワールドシリーズ制覇を達成した2017年シーズン、電子機器を使って相手のサインを解読するルール違反を犯したため、リーグは球団に500万ドル(約5億5000万円)の罰金を科した。またA.J.ヒンチ(A.J.Hinch)前監督とジェフ・ルーノウ(Jeff Luhnow)ゼネラルマネジャー(GM)には1年間の職務停止処分を科し、これを受けて両者は解任された。(c)AFP