【1月28日 AFP】アフリカ・サハラ(Sahara)砂漠の南縁に位置し、イスラム過激派勢力が猛威を振るっているサヘル(Sahel)地域では昨年、子ども数百人が殺されたり手足を失うなどの重傷を負ったり、両親と引き裂かれたりした。

 28日に発表された国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)の報告によると、サヘル諸国のうちマリだけでも、昨年1~9月に277人の子どもが殺されたり重傷を負ったりした。前年の2018年と比べて2倍以上になるという。

 マリはフランス軍や国連部隊の支援を受けているが、2012年に同国北部で武装蜂起した反政府勢力やイスラム過激派勢力の鎮圧に苦戦している。これまでに兵士や民間人数千人が犠牲になった上、戦闘は同国中心部や隣国のブルキナファソとニジェールにも広がり、民族間の緊張もあおった。

 ユニセフの報告によると、サヘル地域全体で「戦闘に巻き込まれた子どもたちに対する暴力が著しく増加」しており、ブルキナファソとニジェールでも子どもたちが殺人や性暴力、誘拐、武装集団の戦闘員動員の標的となっている。

 広範囲に及ぶ紛争で自宅を逃れ避難民となった人は昨年11月時点で、前年の2倍の約120万人となり、その過半数を子どもが占めている。また約490万人の子どもが人道援助を必要としているという。

 ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所のマリー・ピエール・ポワリエ(Marie-Pierre Poirier)代表は「子どもたちが直面している暴力の規模に、われわれは衝撃を受けずにはいられない」「数十万の子どもたちがトラウマになる経験を生き抜いている」と語った。(c)AFP