【1月22日 AFP】小型機の墜落事故によりサッカーのエミリアーノ・サラ(Emiliano Sala)選手が死亡してから1年がたつ21日、サラ選手の家族が「内輪で静かに死を悼んでいる」と弁護士を通じて発表した。

 サラ選手は、フランス・リーグ1のナント(FC Nantes)からイングランド・プレミアリーグのカーディフ・シティ(Cardiff City)への移籍が決まった直後の2019年1月21日、新天地へ向かうため乗っていた小型機がイギリス海峡(English Channel)にあるガーンジー島(Island of Guernsey)付近で墜落し、命を落とした。

 この事故をめぐっては、パイロットのデビッド・イボットソン(David Ibbotson)さんも死亡した中での責任の所在、そして何より移籍金1700万ユーロ(約20億円)の支払いなど、未解決の問題が残っている。またサラ選手の家族は、事故から3か月後の昨年4月、同選手の父親のオラシオ(Horacio Sala)さんが心臓発作で急死するというさらなる悲劇に遭遇した。

 一家の弁護士はこの日、「サラ選手のご家族は、エミリアーノの早すぎる死から1年となるこの日、内輪で静かに二人を悼んで過ごします」と発表し、あの運命の夜に一体何があったのか、すべてが明らかになることを家族は何より望んでいると話した。

「ご家族の一番の関心は、これまでと変わらず一刻も早い全容の解明であり、真実が明らかになって、同様の事故で愛する人を失い、苦しむ家族が生まれないようにすることです」

 英航空事故調査局(AAIB)はこの日、調査は「現在次の段階に進んでおり、事故に関する最終報告書を2020年3月末までには発表することを目指している」と明かした。

 この日はカーディフのサポーターも市内に集まってサラ選手を悼み、また前所属のナントも、こちらもサラ選手が在籍したことのあるボルドー(FC Girondins de Bordeaux)との25日の試合で、追悼行事を行うことを予定している。

 残されたサラ選手の母親、そして弟と妹は、昨年12月末にアルゼンチンへ取材に訪れた英BBCに対して、追悼のメッセージや贈り物が数多く届いていることに圧倒されていると明かした。サラ選手の美容師も家族の元を訪問したという。

 それでも母親は、長男を亡くした傷が癒えることはないと話し、「残念ながら、心の平穏が見つかったとは言えません」「今もまだ闘っています」「私は生けるしかばねです。あまりにもひどい一年でした。息子を心から愛していました。自慢の息子だと、毎日伝えていたんです」と打ち明けている。(c)AFP