【1月23日 東方新報】中国の人力資源社会保障部は14日の記者会見で、2019年11月15日から今年の春節前まで、全国で給与未払い根絶冬季アクションを展開中だと発表した。すでに1万5000件の給与未払い問題を処理し、22万8500人の出稼ぎ農民に34億600万元(約542億円)の未払い給与の支払いが行われたという。

 春節(旧正月、Luna New Year)前は、建設現場など農村からの出稼ぎ者が多く働く業界では、作業員の1年分の給与・賃金の決算ラッシュ期で、給与未払い問題が起こりやすい。一般的に、こうした業界は出稼ぎ農民と年間契約を結び、1年分の給与をまとめて春節休みの帰郷前に支払う。

 2019年12月中旬、国務院が招集したテレビ電話会議で、春節前での推進のためにさらに動員がかけられた。

 もし給料未払いに遭った場合、「人力資源社会保障部の労働保障監察当局に訴える」「地元の労働争議仲裁寄稿に仲裁を申請する」「裁判所を通して、支払い命令を申請する」といった方法があることや、労働契約書、出勤証明、勤務評価記録などがあれば、未払い給与を取り戻すのがさらにたやすくなるといった情報も広く告知されるようになった。

 2019年全体でいえば、各地の労働保障監察当局が処理した給与・賃金をめぐる違法案件は5万8000件(前年同期比33.1%減)で、約83万1000人(同50.8%減)の労働者の79億5000万元(約1279億円、同50.4%減)の給与が未払いになっていた。

 また、重大な労働保障違法行為として公表された3286件のうち、給料未払いは2395件、公安機関に送検された労働報酬支払い拒否罪案件は3135件。人力資源社会保障部は4回にわたり280の給料未払い企業の「ブラックリスト」を発表し、他部門と協力して懲戒を実施した。

 給与・賃金未払い問題の解決は、中国の農村地域の貧困問題を解決するための重要なテーマ。この数年、関連当局の取り組みの結果、全体的に改善はしているものの、景気は悪化しており、根本からの問題は解決できていない。

 給与未払いが起こりやすい建設関連企業には、地方政府企業、国有企業も少なくなく、昨年12月4日の国務院常務委員会議では李克強(Li Keqiang)首相も政府投資プロジェクトの現場で起きている賃金未払い問題の重点的解決を明確に要求している。

 昨年12月には「出稼ぎ農民賃金支払い保障条例」が国務院常務会議で可決された。各企業に賃金支払い保障業務の担当責任者を置き、地元政府や監督管理当局の責任も明確にして、約定通りの時期と額の給与支払いを行うこととされている。(c)東方新報/AFPBB News