【12月24日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)で開発された携帯端末用の人気アプリ「ToTok」が、同国政府による広範な情報収集に利用されているとする報道を受け、米アップル(Apple)とグーグル(Google)のアプリ配信サービスから削除された。

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 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は21日、ユーザーがToTokをスマートフォンにインストールすると、UAE政府がその会話や行動などの詳細をたどることができると報じた。

 アップルはAFPの取材に対し、ToTokは再審査の間、アップストア(App Store)から削除されたと明かした。一方グーグルは、同アプリが「方針上の問題のため」にグーグルプレイ(Google Play)から削除されたと述べた。

 ニューヨーク・タイムズによると、UAEとその周辺諸国で数百万のユーザーを抱えるToTokは、同様のアプリを禁止している国々で、簡単かつ安全にメッセージや動画を送信する方法として設計されたと思われていた。

 同紙は、米情報機関の当局者ら、またセキュリティー研究者がUAE政府が事細かな監視のためにこのアプリを用いていると断定したと伝えている。

 同紙によると、今年配信が開始されたこのアプリの開発会社は、首都アブダビに本拠を置き、かつサイバー上での諜報(ちょうほう)活動とハッキングに携わる企業「ダークマター(DarkMatter)」につながるダミー企業である可能性が高いという。

 ToTok側は23日、スパイ疑惑については言及せず、同アプリが「技術的な問題のため」にアンドロイド(Android)とアップルのアプリ配信プラットフォームでは「一時的に利用不可」になっているとブログに投稿。

 投稿には「既存のToTokユーザーは支障なく引き続きサービスをご利用いただけます」「私たちはこの問題に関し、グーグルおよびアップルと緊密に連携していることを、新規ユーザーにお知らせしたいと思います」と記されている。

 一方でこのアプリは、自社ウェブサイトやサムスン電子(Samsung Electronics)、華為技術(ファーウェイ、Huawei)、小米科技(シャオミ、Xiaomi)、オッポ(OPPO)などのスマートフォンメーカーが運営するアプリ配信サービスからはダウンロードできるとしている。(c)AFP