【11月21日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は欧州選手権(UEFA Euro 2020)で出場権を獲得したすべての開催国をなんとか自国でプレーさせようと頭を悩ませる中、ベルギー代表MFのケビン・デ・ブルイネ(Kevin de Bruyne)が分散開催となった新フォーマットの大会について「恥ずべきこと」と批判の声を上げている。

 来年の欧州選手権は初めて12か国・12都市で行われ、準決勝と決勝の会場は英ロンドンにあるウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)になった。

 出場チーム数が24か国になるのは今回が2度目で、本大会の組み合わせ抽選会は30日にルーマニア・ブカレストで開催される。

 19日の予選でハンガリーを2-0で下したウェールズが20番目の出場チームとなり、残る4チームは来年3月に行われるプレーオフで決定する。

 しかしUEFAは、開催国がグループステージの試合を自国のスタジアムで行えるようにしなければならず、また政治的な理由により特定のチーム同士を別々にしたため、抽選会に向けた緊張感の多くが失われてしまった。

 例えば、ウクライナ東部で対立が起きているため、同国とロシアは本大会で対戦しない。これによりベルギーは、グループBで開催国のロシア、デンマークと対戦することが決まり、抽選会で緊張感を味わうようなことはほとんどなくなった。

 イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)に所属するデ・ブルイネは、ベルギーが6-1で勝利した19日のキプロス戦の後、「正直に言って、恥ずべきこと」と地元のテレビ局に語った。

「サッカーはもはや本来のものじゃない。ビジネスになりつつある」「選手としてはそれに適応しなければならないが、僕にとってそれらは大会を歪曲(わいきょく)するようなもの。こういったことが、抽選会から一切の緊張感を取り除いている」

 オランダのロナルド・クーマン(Ronald Koeman)監督も、ウクライナと同じグループCに入ったことを知ると同様に当惑した。

 クーマン監督は母国の日刊紙テレグラフ(De Telegraaf)に、「この新フォーマットをあまり理解していない。それでも11月30日の抽選会にわざわざ行く必要があるのか、オランダ協会に聞いた」と語った。

■フランスとポルトガルはポット1に入らず

 ベルギーやイタリア、イングランド、ドイツ、スペイン、ウクライナが抽選会のポット1に入った一方、W杯ロシア大会(2018 World Cup)王者のフランスやオランダはポット2に、現欧州王者のポルトガルはポット3になった。

 最後の4チームが決まるプレーオフの組み合わせ抽選会は22日に予定されており、その対戦カードは新設されたUEFAネーションズリーグ(UEFA Nations League 2018-19)での成績を基に決まる。

 来年3月26日に行われるプレーオフの準決勝では、ボスニア・ヘルツェゴビナと北アイルランドが、スロバキアとアイルランドがそれぞれ対戦し、スコットランドはブルガリア、イスラエル、ハンガリー、ルーマニアのいずれかをホームに迎える。

 スコットランドがこの試合に勝利すれば、本大会出場を懸けノルウェー対セルビア戦の勝者と戦う。

 一発勝負の準決勝を制したチーム同士は、5日後に決勝で激突することになっている。

 しかし、スコットランドやハンガリー、ルーマニアはいずれも開催国に選ばれており、仮に全チームが出場権を獲得すれば、UEFAにとっては悩みの種となる。

 本大会に向けた組み合わせ抽選会のポット分けは以下の通り。

ポット1:ベルギー、イタリア、イングランド、ドイツ、スペイン、ウクライナ
ポット2:フランス、ポーランド、スイス、クロアチア、オランダ、ロシア
ポット3:ポルトガル、トルコ、デンマーク、オーストリア、スウェーデン、チェコ
ポット4:ウェールズ、フィンランド、プレーオフの勝者4チーム

 プレーオフ進出国のラインアップは以下の通り。

パスA:アイスランドおよびブルガリア/イスラエル/ハンガリー/ルーマニアのうちの3か国
パスB:ボスニア・ヘルツェゴビナ対北アイルランド、スロバキア対アイルランド
パスC:スコットランド対ブルガリア/イスラエル/ハンガリー/ルーマニア、ノルウェー対セルビア
パスD:ジョージア対ベラルーシ、北マケドニア対コソボ

(c)AFP