【11月16日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)加盟国のリトアニアは15日、ロシアとの間で、冷戦(Cold War)を思い起こさせる「スパイ交換」を実施した。リトアニア側はスパイの罪で禁錮刑に服していたロシア人2人を解放し、ロシア側もやはりスパイの罪で収監されていたリトアニア人2人とノルウェー人1人を解放した。

 2014年のウクライナ危機の勃発後、旧ソ連から独立したリトアニアとロシアの間で緊張が高まり、互いに相手国が違法な情報収集活動を行っていると主張していた。

 まずリトアニアのギターナス・ナウセーダ(Gitanas Nauseda)大統領が、スパイの罪で禁錮刑に服していたロシア人2人に恩赦を与えた。これを受けてロシア政府も同様の対応を取ると発表した。

 リトアニアのダリウス・ヤウニシュキス(Darius Jauniskis)国家保安局長は15日、首都ビリニュスで記者会見を開き、同日正午(日本時間同日午後7時)、交換が無事に完了したと発表した。

 ヤウニシュキス氏によると、リトアニア人2人とノルウェー人1人は無事にリトアニア入りし、ノルウェー人は首都ビリニュスのノルウェー大使館に移されたという。

 釈放されたノルウェー人は2017年にロシアの首都モスクワで拘束された。今年4月、ロシアの原子力潜水艦をスパイしたとして有罪判決を受け、禁錮14年を言い渡された。

 リトアニア側は、ロシアの飛び地であるカリーニングラード(Kaliningrad)州との国境検問所で、恩赦で釈放されたロシア人2人を引き渡した。ロシア人2人は2017年、リトアニアの裁判所で禁錮刑を言い渡されていた。(c)AFP/Vaidotas BENIUSIS