【11月16日 AFP】フランスは欧州連合(EU)の複数の加盟国に続いてサーカスでの野生動物の利用を禁止するべきかどうかを検討しているが、それに先駆け、首都パリの市議会は15日、サーカスでの動物利用を違法とする独自の条例案を承認した。フランスでは今週、ショーに出演させられ何年も虐待されていたと思われるクマが死んだことで議論が再燃していた。

 パリ市内では、市議会で15日午後に承認された条例案により、2020年以降、サーカスで外来種の動物の利用が認められなくなる。サーカスの動物といえば、最も多いのはライオンだが、他にトラやゾウ、カバ、ヒヒ、サル、ヘビ、オウム、ラクダ、クマ、ダチョウ、シマウマなどがいる。

 世論調査によると、フランス人の圧倒的多数が外来種の動物を娯楽のために利用することに反対しており、複数の自治体では野生動物を出演させる巡回サーカスを禁止している。しかし、国家単位では禁止されておらず、国内では今でも多数の動物をおりに入れて飼育している複数のサーカス団体が活動している。国内のサーカスなどで飼われている動物の数について公式の統計は存在せず、仏動物愛護団体「ワンボイス(One Voice)」は500匹近いとしているが、別の愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」フランス支部は1000匹以上とみている。

 ワンボイスのムリエル・アルナル(Muriel Arnal)代表はAFPに対し、「世論の圧力により、(サーカスなどにいる)動物の数は激減した」とする一方、数百匹が今なお「非常に狭いおりに入れられてトラックに積まれ、ショーの本番か調教のために外に出されるが、そうした調教も非常に暴力的だ。動物たちが心穏やかに過ごせる状態はまったくない」と指摘した。(c)AFP/Ambre TOSUNOGLU / Mariette Le Roux