【11月16日 AFP】イタリア・ベネチア(Venice)で15日、新たに異例の高潮が発生し、ルイジ・ブルニャーロ(Luigi Brugnaro)市長はサンマルコ広場(St Mark's Square)の閉鎖を命じた。イタリア政府は前日、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録されている同市に非常事態宣言を発令していた。

 ベネチア地域を襲った強い暴風雨により、水位は15日正午(日本時間同日午後8時)前に154センチを記録。12日に記録した過去50年間の最高水位187センチよりは低いものの、危険な水準に達した。

 午後には水位が下がり、数日間は低水位となることが予想されたため、サンマルコ広場は再び開放された。

 市内の教会や店舗、民家は、異例の激しい「アクアアルタ(Acqua alta、イタリア語で高潮の意味)」の影響で浸水被害を受けている。

 右派のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相ら政治家が同市を訪問する中、ブルニャーロ市長は「われわれは今、被害額が10億ユーロ(約1200億円)に達するとみている。この額は先日の被害の分だけだ。今日の被害額は含まれていない」と述べた。

 イタリア政府は、悪天候による洪水被害を受け、2000万ユーロ(約24億円)の財政援助を命じた。暴風雨はまだ収まっておらず、当局は16日、強風の恐れがあるとしてベネチア地域に非常警報を出した。

 被害状況を調査したダリオ・フランチェスキーニ(Dario Franceschini)文化財・文化活動相は、高潮で50か所以上の教会も被害を受けたと明らかにし、ベネチア市の復旧費用は膨大な額になると述べた。(c)AFP