普段私は平和について滅多に考えない。戦争は昔のこと。紛争が起きているのはどこか遠くの国。この写真はそんな私を一蹴した。紛争によって引き起こされた二次被害。負の連鎖に他ならない。この写真の子供と私との違いは生まれた所だけなのに、私が日本で学校にいる間、紛争地域の子供は被害者、さらには少年兵として加害者になっている。このようにして戦争のせいで教育を受けられなかった子供は生きるのに大切なことを知らずに大人になってしまう。私は物資や翻訳した絵本などを送る、私に出来る活動を始めているが、物資の支援は一時的で格差にも繋がる。どうすれば本当の解決が出来るのか。彼らが今必要なもの、それは衣食住そして教育だ。私が今の環境を周囲から与えてもらっているように、子供が子供としていられる環境を提供すべく、根本的な解決を目指したい。シリアの現状を垣間見て、何かしたいと考えるきっかけになった写真だ。(ペンネーム:晴れ)


[國學院大學久我山高校]

[講評]加来賢一(AFPWAAディレクター)
シリアの首都ダマスカス郊外の町 Hamouriaにおいては、かつて教室として在った場所は民衆の避難所として使用され、今は以前の面影も在りません。瓦礫が散乱したその場所をひとりの少年が歩いています。平和な日本で学校生活を送る高校生が遠く離れたシリア内戦の惨状を目にして、自分に何が出来るのかを自問しています。この応募作品ではその真摯な問いが簡潔に表現されています。