【10月18日 AFP】モロッコ・ザゴラ(Zagora)の近くの砂漠で、一列になって移動する約4億8000万年前の生物の化石がみつかった。17日に発表された研究論文は、化石が、動物の集団行動を示す最古の例になったとしている。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、化石は三葉虫のもので、海底を一列縦隊でゆっくりと移動していたと考えられるという。三葉虫はすでに絶滅した生物だ。

 三葉虫もすべての節足動物と同様に、体節のある体と外骨格を持っていた。節足動物門には、昆虫、ムカデ、クモ、甲殻類などが属している。

 今回発見された化石は、硬貨くらいの大きさの十数匹で、みな同じ方向を向いて一列に並んでいる様子を示している。列を成す個体の間隔は、頭部からのびる2本の先細りの突起の長さだけ離れており、突起の先端が列のすぐ後ろの個体に接していた。

 論文の共同執筆者で、フランス国立科学研究センター(CNRS)の科学者、アブデルラザク・エル・アルバニ(Abderrazak El Albani)氏は、AFPの取材に対し「これは、しっかりとまとまった集団行動を取っていたことを示す最古の例だ」とコメントした。

 魚や鳥、レイヨウ類などの群れを作る動物の集団行動に関しては、生物学者らによる綿密な研究が行われているが、集団行動がいつ、どのようにして始まったかについてはほとんど明らかになっていない。

 研究チームによると、今回の発見は可能性のあるシナリオを二つ示唆しているという。

 一つは、Ampyx priscusの学名で知られる三葉虫の一種であるこの原始的動物が、嵐など悪天候の影響を嫌って環境間を移動していた可能性があることだ。