2019.10.11

CARS

新型車を発表する新しいエキシビションを開始!フェラーリを愛する人のために

フィオラノ・ テストトラックに隣接して設けられたパビリオン。そこにはフェラーリの世界を俯瞰する展示が繰り広げられ、その最後で、ニューモデルを拝める特別なショーだった。

フェラーリとそのレーシング部門であるスクーデリア・フェラーリが、テストコースとして使うフィオラノ・サーキット。そこを囲む金網フェンスに接するように建てられた特設パビリオン。わずか1カ月弱の間、開かれているイベントのために用意された器は、真紅に塗られたプレハブ建築だ。


イベントの名は〝ウニベルソ・フェラーリ〟。9月2日から9月末日まで開かれる、大規模な展示会である。世界中からの顧客、エンスージアスト、ファンのために繰り広げられるこのイベントを見てきた。


9月9日、スクーデリア・フェラーリがモンツァ・サーキットで実に9年ぶりの勝利を飾った前日の興奮いまだ冷めやらぬフィオラノの特設会場。そのドアをくぐると、そこにはF1マシンがこちらを見据えるかのように鎮座していた。


その背景に映し出されるスクーデリア・フェラーリの歴史。ガイド・ツアーよろしく次の部屋へと移ると、そこには栄光の250GTOを主役に、クラシック・フェラーリのレストアとレジストレーションを担うクラシケ部門が紹介される。


次の部屋では、ポルトフィーノに象徴されるGTカーとしてのフェラーリと暮らすライフスタイルやイベントが紹介され、さらにその反対側では、2019年のル・マン24時間レースにおけるGTEカテゴリーでの優勝を示す優勝トロフィーと488GTEが、フェラーリのレースの世界との強いつながりを語る。


そうした2つの世界を象徴するかのように中央に飾られたラフェラーリ・アペルタとFXX-Kエヴォの2台。さらに次の大広間へと移ると、そこにはフェラーリ・ロードカーの現行ラインナップが、SF90ストラダーレを頂点に勢揃いして待ち構えていた。


フィオラノ・テストトラック脇に特設された会場内にはフェラーリ・ワールドの全体像を俯瞰できるように意図された展示が次々に現れ、最後に新型車のF8スパイダーと812GTSにご対面できるという趣向。建屋の外には食事のできるテラスが設けられ、そこからテストトラックを走るフェラーリを見られるようになっていた。

そしてさらに次のプレゼンテーション・ルームへ入って着席すると、発表直後のF8スパイダ ーと、この場がまさにワールドプレミアの場となる2つ目の新型車、812GTSが観客席の前へと自走して登場した。拍手喝采だ。


このウニベルソ・フェラーリ会期中には予約訪問客の誰もが、この絢爛豪華なフェラーリ・ショーを楽しめる。しかも9月下旬の2つの週末には一般のファンへも開放されるのである。


春先のジュネーヴ・ショーで発表されたF8トリブート、やはりここフィオラノに特設会場を建築して発表されたSF90ストラダーレ、そしてこの2台を加えて4台のニューモデルが2019年に発表されたことになる。


さらにこの晩秋には、今年5台目となる新型車がヴェールを脱ぐことになっている。スクーデリア・フェラーリ創立90周年となる特別な年を強く印象づける攻勢である。


812 GTS

812GTS : 誰も予想しなかった12気筒フロント・エンジン・ベルリネッタのオープン・モデル。継続生産されるカタログ・モデルとしては、1969年の365GTS4デイトナ・スパイダー以来の復活となる。電動開閉式メタル・トップは荷室上部のコンパクトな空間に巧妙に収納される 。トップの開け、閉めに要する時間は14秒。45km/hまでは走行中も操作可能だ。

フランクフルト・ショーを欠席して同じ時期にこのイベントをぶつけたフェラーリ。1回のショー出展には黙って数億円の経費がかかる。しかし、その、モーターショーは凋落の一途を辿っている。しかも、ワン・オブ・ゼムとしか見られない。  


ウニベルソ・フェラーリは、これまでのモーター・ショーに代わる、フェラーリのフェラーリによるフェラーリを愛する人のためのエクスクルーシブなモーター・ショーなのだ。しかも、テラスへ出れば、眼前を疾走する跳ね馬も見られるのである。


F8 Spider

F8スパイダー : 488スパイダーの後継モデル。488ピスタでの経験が生かされたツインターボV8は50psアップの720ps/ 8000rpmを発揮する。車両重量は20kg軽く、488ピスタ・スパイダーより20kg重いに過ぎない。トンネルバック・スタイルの電動開閉式メタル・トップは、開け、閉めともに14秒で完了する。45km/hまでは走行中も開閉操作が可能だ。

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文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=Ferrari S.p.A.、ENGINE編集部

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