【10月5日 AFP】電車内での携帯電話による通話、路上喫煙、ビックス(Vicks)社製の鼻腔(びくう)用吸入器…ラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)で外国から来日するファンたちは、これらが禁止されていることを知っておかなければならない。

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 日本は大量のビールを仕入れ、普段タブー視されているタトゥーを大目に見てラグビーファンを歓迎しているが、世界中から訪れているファンたちが、不作法だと思われないために避けた方が良いことがある。

■公共スペースでの振る舞い

 日本社会は常に礼儀正しく控えめだ。声高な会話は屋外でも珍しいし、電車内やレストランといった閉ざされた空間ではほとんど皆無だ。電車の中には携帯電話で通話をしないようにとか、ヘッドホンから漏れるほど大きな音量で音楽を聴かないようにといった注意書きが掲示されている。

 フランス人サポーターたちが地下鉄の車内で床に座り、クラウドサーフィング(群衆が頭上に乗せた人を下から支えて、サーフィンのように移動させる行為)に興じる動画がツイッター(Twitter)に投稿されると再生200万回を超えるほど拡散し、同時に日本のネットユーザーたちのひんしゅくを買った。来年開催される東京五輪の前兆ではないかと懸念する声も上がった。

 この動画を投稿した日本人ユーザーは「最初は笑って見てました。でも徐々にエスカレートしていって、関係ない人にぶつかるようになっていって。私もカメラに足を当てられてレンズカバー吹き飛んだので、車両変えました」と書き込んだ。

■ごみもごみ箱もない

 日本は世界で最も清潔な国の一つとされ、人口約1600万人の首都東京の路上にさえ、ごみは落ちていない。しかし、ごみがないゆえ逆説的に、ごみ箱もほとんどない。日本人はどうしているかといえば、ごみを家まで持ち帰って捨てている。

 外国から訪れたファンたちはこれに驚いている。東京のファンゾーンでAFPの取材に応じたアイルランド人サポーターのアラン・パーカー(Alan Parker)さんは「とてもきれいで清潔だが、ごみ箱なしでどうやっているのか分からない。ごみをプラスチック袋に入れて持ち歩かなければならないね」と語った。

 だが、他に手がないわけではない。東京のような都市ならば数百メートルおきにコンビニエンスストアがあり、店内には大抵ごみ箱がある。

■公共の場での喫煙

 日本は先進国では珍しい喫煙天国だと長らく思われていたが、喫煙率は減っており、自治体は公共の場での喫煙を禁じるようになっている。

 東京の路上の多くは禁煙ゾーンに指定され、罰金の警告が掲示されている。たばこを吸う人は、道から奥まったところにフェンスなどで隔てられている喫煙スペースを探さなければならない。しかし、ルールを守っていないと告白するファンもいた。

 東京のパブで試合観戦していたオーストラリア人のマーク・クリフォード(Mark Clifford)さんは「これはW杯で、外国人がたくさん来るのだから、彼ら(日本人)は寛容にならなければ。特に自分たちの国に良いイメージを持ってもらいたかったらね」と語った。

■麻薬は全面禁止、薬にも要注意

 快楽目的のドラッグは、日本では全面禁止だ。マリフアナについても、一部の国でみられるような解禁の動きは全くない。

 来日するラグビーファンについては、東京でアイルランド人サポーター2人が先週、ヘロインを所持した容疑で逮捕された以外、これまでドラッグ絡みのトラブルはない。

 一方、ビックス社製の吸入器からアレルギー薬、痛み止めまで、店頭販売が禁止されている薬も多く、国外から処方薬を持ち込む場合も特別な輸入許可が必要だ。

 麻薬取締法は厳格で、2015年にはトヨタ自動車(Toyota Motor)の外国人役員が、膝の痛み止めのために日本で麻薬指定されている成分「オキシコドン」を含む鎮痛剤を輸入したとして逮捕されている。

 ラグビーW杯の開幕前、東京の英国大使館が公開した諸規制に関する警告動画は、「鼻腔用スプレーを持ち込んだせいで、逮捕されたり、強制送還されたりしないように」と注意喚起していた。(c)AFP/Etienne BALMER / Sara HUSSEIN