【10月3日 AFP】カナダの新民主党の党首でシーク(Sikh)教徒のジャグミート・シン(Jagmeet Singh)氏が2日、モントリオールの市場で通りすがりに、ターバンを取れば「カナダ人に見える」と言われていたことが分かった。テレビで映像が報じられた。

 少数民族出身者として初めてカナダ連邦政党の党首を務めるシン氏は、現職の連邦議会議員。敬虔(けいけん)なシーク教徒で、カラフルなターバン姿で知られる。

 シン氏は市場で有権者と交流中、年配の男性に呼び止められ、「知っているかい? あなたはターバンをやめるべきだ。そうすればカナダ人に見えるようになる」と言われた。

 これに対し、シン氏は「おや、カナダ人にはあらゆる見た目の人たちがいると思いますよ。それがカナダの美しさです」と答えた。

 男性はさらに、「ローマではローマ人のするようにしろ(郷に入っては郷に従えの意)と言うだろう」と続けたため、シン氏は「でも、ここはカナダです。何でも望む通りに行動して良いのです」と強調した。

 男性は「分かったよ、体に気を付けて。選挙で勝つといいな」と言って会話を終えた。

 モントリオールのあるケベック(Quebec)州では、警官や教師など公務員が就業中にターバンなど宗教を象徴するものを着用することを禁じる新州法が成立し、物議を醸している。カナダは今月21日に総選挙を控えており、ケベック州は激戦区の一つだ。

 シン氏は2日夜、自由党党首のジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相や、保守党のアンドリュー・シーア(Andrew Scheer)党首、ケベック連合のイブフランソワ・ブランチェット(Yves-Francois Blanchet)党首らとの政治討論会に出席予定で、ケベック州の新法も議題に上るとみられていた。

 トルドー首相ら連邦政党の3党首は、ケベック州では支持されている新法に反対している。(c)AFP