上海のテスト・コースでの同乗走行は、まさに目からウロコの体験だった。ひとことで言えば、フル加速時の体感は、ターボもターボSもジェット・コースターに乗っている感覚に近い。ローンチ・コントロールを使って発進した時、頭が物凄い勢いで後ろに持って行かれて、したたかヘッドレストに打ちつけられた。
前後Gも横Gも凄まじく強烈で、正直なところ、あまり長く乗っていると気分が悪くなりそうだった。水を撒いたスキッドパッドも設えられていたが、インストラクター氏はそのパイロン・コースをすこぶる楽しそうに、信じられないようなドリフト・アングルをつけながら駆け抜けていく。その時のドライブ・モードはスポーツ・プラスで自動安定装置はオフ。オフにすると電子制御の介入は完全になくなり、一切がドライバーに任されるというのだが、それでも、前後の電気モーターが実に巧みにトルク配分を変化させて姿勢を制御しているように感じられた。
足回りは前がダブルウィッシュボーンで後ろがマルチリンク。サスペンションはエアサスで、そのほかポルシェが持つアクティブ・スタビライザーや後輪操舵といったドライビングに関する機能のすべてが標準で装備されるか、オプションで装備でき、それらが統合制御されている。
もうひとつ興味深かったのは音だ。ノーマル・モードでは、電気モーターのヒューンという甲高い音が聞こえてくる。ローカルな話で恐縮だが、京浜急行に乗るとよく聞こえてくる音と似ている。ところがスポーツ・モードだともっと迫力のある、やや野太いものに変化する。
実はこれ、スピーカーから出しているのだそうだ。ただし、人工的に作ったものではなく、電気モーターをテスト・ベンチに載せてサンプリングした中から不快な周波数を取り除き、ふさわしい音を作っているのだとか。9月末には国際試乗会が開かれるので、次号でサウンドも含めて、走りの印象をもっと詳しく報告しよう。(後編・終わり)
文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=ポルシェA.G.
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