「平等と貧困」
このニュースをシェア

最近よく平等という言葉を耳にする。それは聞き心地がよいもののように感じる。世界のすべての人が平等であれば平和であると皆が確信しているであろう。しかし歴史は必ずしもそうだとは言ってくれない。共産主義や社会主義がそうだ。国民全員が資産を共有し、その前では平等であるかのように見える。だが実際には出る杭を打たなくてはならず、打つ側と打たれる側が存在し、打たれる側は激しく自由を制限される。その実態はたびたびこう表現される。「真の平等とは全員が不幸な状態である」。はたしてそれは平和で居心地のいいものなのだろうか。
帝国と聞くと他国を侵略しその国の財産を奪い圧政を敷く。それはまさしく悪の根源かのようだ。もちろん歴史的にもそういった超大国は存在し、圧政が原因で滅んでいった国もある。しかし崩壊後のほうが混乱した例もある。オーストリア帝国とオスマン帝国である。第一次世界大戦のきっかけとなったバルカン半島はまさしくこの二大帝国の統治下にあったし、現在に繋がる中東問題にはオスマン帝国の解体に起因している。アフリカの貧困問題も欧米列強の統治からの脱却が深く関わっている。
私たちは言葉のイメージや概念に惑わされず、ひとつひとつそれを読み解いていかなくてはならない。そして真の平等や平和は存在しないことを理解しなくてはならない。(ペンネーム:T.D.)[東京電機大学]