【9月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は24日、ニューヨークで開かれた国連総会(UN General Assembly)で演説し、イランに対する制裁の強化も辞さない意向を示した。欧州首脳らの間では、国連総会で緊張緩和に向けた土壇場の突破口が開ける可能性に対する期待が高まっていた。

 フランス、ドイツ、日本の首脳はそれぞれ、トランプ氏とイランのハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領と個別に会談しており、40年間にわたり敵対し合ってきた米・イラン両国の間での歴史的な首脳会談がニューヨークで開かれるとの臆測が広がっていた。

 ロウハニ師は会談実現の条件として、自国に対する経済制裁の緩和を要求。だがトランプ氏は国連総会での一般討論演説で、単独主義に対する称賛や中国批判を展開するとともに、対イラン制裁緩和には応じない姿勢を明確にした。

 トランプ氏は「イランが脅迫的な行動を続ける限り、制裁は解除されない。制裁は強化される」と言明。サウジアラビアで今月起きた石油関連施設への攻撃をめぐりイランを非難し、「すべての国は行動する義務がある。責任ある政府は、イランが持つ流血への欲望を支援すべきでない」と述べた。この攻撃については、欧州の首脳らが前日、イランに責任があるとする米国の結論に同意していた。

 イランは当初、トランプ氏との会談の可能性を否定していたが、ここ数日は実現に前向きな姿勢を強めている。イランはまた、善意を示すためか、7月に拿捕(だほ)した英船籍の石油タンカーの解放を認めていた。

 トランプ氏は演説でこのほか、国際統治の考え方に対する批判を改めて展開。「未来はグローバリストのものではない。愛国主義者のものだ」と明言した。トランプ氏は前日の23日に開かれた国連気候行動サミットに対し粗悪な対応を取っていた。

 トランプ氏に同調したのが、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領だった。極右のボルソナロ氏は、アマゾン(Amazon)の森林火災に対する批判を拒絶し、環境活動家らから敵視されている。

 ボルソナロ氏は国連総会での演説で「アマゾンが人類の遺産だというのは誤信であり、われわれのアマゾンの森林が地球の肺だというのは科学者らが認めた誤解だ」と明言した。(c)AFP/Shaun Tandon and Jerome Cartillier