【9月21日 AFP】サウジアラビアの国営石油会社サウジ・アラムコ(Saudi Aramco)は20日、今月14日の攻撃で大きな被害を受けた石油施設2か所を世界各国のメディアに公開した。同社は新規株式公開(IPO)を控えており、復旧作業が順調に進んでいることをアピールすることで、投資家の信頼をつなぎ止める狙いがある。

 アブカイク(Abqaiq)にある世界最大規模の石油精製施設は18回、クライス(Khurais)近くの施設は4回の攻撃を受けた。複数の爆発で火の手が上がり、鎮火には数時間を要したという。

 アラムコの担当者は「(アブカイクの)施設の多くの重要区画が攻撃を受けた」と述べ、攻撃が極めて正確だったと指摘した。

 通常ならば銀色のスタビライザーと呼ばれる装置は黒焦げになり、基部には大きな穴が開いていた。セパレーターと呼ばれる装置の周囲には足場が組まれ、白いヘルメットをかぶった作業員が大勢活動していた。

 アラムコのハーリド・ガムディ(Khaled al-Ghamdi)氏は、「通常時は112人が交代制で勤務しているが、今は6000人が復旧作業に携わっている」と語った。作業のペースを速めるため、米国と欧州から技術的な装置を運んでいるところだという。

 クライスのファハド・アブドルカリーム(Fahad al-Abdulkareem)施設長が、「今月末までに、攻撃以前と同レベルの生産が可能となる。われわれは復活し、以前よりもさらに強くなる」と断言した。

 クライスの施設では、大きくゆがんだ肉厚の金属パイプがそこかしこに散らばっていた。しかしアブドルカリーム氏によると、クライスの施設の30%は、最初の攻撃から24時間以内に操業可能な状態に復旧していたという。

 エネルギー分野の調査会社エナジー・インテリジェンス(Energy Intelligence)のアレックス・シンドラー(Alex Schindelar)社長は、今月末までに日産1100万バレルを安定して生産できる状態に復旧するのは、復旧に必要な作業の規模を考えると「野心的な目標だ」と述べた。(c)AFP/Anuj Chopra