【9月12日 AFP】香港の民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏(22)がドイツ外相と面会したことを受けて、中国政府は駐中国ドイツ大使を呼んで抗議した。中国の呉懇(Wu Ken)駐ドイツ大使が11日、明らかにした。アジアの金融の中心地香港の民主化運動が、貿易大国の中国とドイツの2国間関係にまで波及した形だ。

 2014年の「雨傘運動(Umbrella Movement)」で学生リーダーだった黄氏は、9日夜にドイツの首都ベルリンに到着。翌10日にドイツ日刊紙「ビルト(Bild)」が主催するイベントで、ハイコ・マース(Heiko Maas)外相と面会したが、中国側はこの面会を「非礼」だとしてドイツを批判した。

 呉大使は記者団に対し、この面会に「中国側は大きく失望しており、強く抗議する」と述べ、ドイツと中国の2国間関係に大きな悪影響を及ぼすだろうと警告した。

 中国は主に米国を念頭に、香港の混乱の背後に「外国勢力」の存在があるとの批判を繰り返している。

 呉大使は、一部の「急進派」を、民主主義を隠れみのにした分離独立主義者と批判した。

 一方、黄氏は11日にドイツで記者会見に臨み、分離独立の意図はないと強調。要求しているのは、1997年の香港返還に先駆けて旧宗主国の英国と中国の間で合意していた自由選挙だと述べた。

 また、香港を「新たなベルリン」に例え、「30年前、ソビエト連邦が消滅するとは誰も思わなかったし、ベルリンの壁が崩壊するとも誰も思わなかった。私たちは圧力と決意をもって、香港人が民主主義に値することを世界に知らせたいのです」と訴えた。

 さらに黄氏は、声明だけでは不十分だとして、中国との貿易条件に人権条項を盛り込むなど、具体的な措置を取ってほしいとドイツをはじめとする欧州諸国に呼び掛けた。(c)AFP/Ryland JAMES