【9月12日 AFP】カナダのジュリー・ペイエット(Julie Payette)総督は11日、ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相の要請に応じ、議会の解散を宣言した。これにより10月21日の総選挙に向けた選挙期間が開始。トルドー氏は、倫理規定違反スキャンダルなどの問題で批判を浴びる中、政治生命をかけた選挙戦に臨む。

 選挙戦では、気候変動と物価上昇の問題が焦点となるとみられている。世論調査によると、かつてはカナダ政界の寵児(ちょうじ)だったトルドー氏が率いる与党・自由党の支持率は、アンドリュー・シーア(Andrew Scheer)党首が率いる野党・保守党と拮抗(きっこう)。次期首相の座を目指す選挙戦を開始したシーア党首は、トルドー首相が「スキャンダルを隠蔽(いんぺい)」するためうそをついたと批判した。

 自由党は過去4年間で、大麻の合法化、難民受け入れ数の大幅な増加、米国・メキシコとの新たな自由貿易協定の締結、そして欧州連合(EU)・太平洋諸国との貿易協定の締結といった実績を残してきた。またトルドー政権は、老朽化が進む軍艦や戦闘機を交換するためカナダ史上最大の軍備調達も行った。

 一方、旧態依然とした政治に変化をもたらす新風とされていたトルドー氏のイメージは、倫理規定違反問題で大きな打撃を受けた。この問題では、閣僚2人が、トルドー氏とその側近が雇用を守るため、建設大手SNCラバラン(SNC-Lavalin)に対する刑事訴追手続きに干渉したと主張。2人は自由党から除名された。

 2人はいずれも女性で、うち1人はカナダ初の先住民司法長官だった。トルドー氏は2015年の選挙で女性や先住民、若者層の票を集めて勝利したが、このスキャンダルによってこれらの層の支持率は低下した。(c)AFP/Michel COMTE