【8月24日 AFP】ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は23日、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林で拡大している火災の消火活動のために軍を派遣することを承認した。アマゾンの火災に対しては世界中で非難の声が高まっており、抗議活動が起きている他、欧州と南米諸国との大規模な貿易協定を脅かしている。

 AFPのカメラマンによると、北西部ロンドニア(Rondonia)州では密林の上空に厚い煙が立ち上り、複数の火災現場から明るいオレンジ色の炎が上がっているのが数キロメートル離れた地点からも確認できるという。

 世界最大の熱帯雨林であるアマゾンの火災をめぐっては、世界各地で抗議行動が起きている。また、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は森林火災を「国際的な危機」と表現し、欧州連合(EU)と南米諸国の貿易協定を阻止すると明言。ボルソナロ氏と舌戦を繰り広げている。

 ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、21~22日にも新たに700件の火災が発生し、複数の都市で空気汚染が悪化している。サンパウロ(Sao Paulo)では19日、厚い煙に覆われ日中でも夜のような暗さになった。

 ボルソナロ氏は23日夜に閣僚らと緊急会議を行い、アマゾンにおける消火活動および犯罪取り締まりのため軍を派遣することを許可する命令を発した。

 アマゾンの熱帯雨林は「地球の肺」とも呼ばれ、気候変動の抑制を左右するとみられている。世界各地でアマゾンの火災に対する抗議活動が行われ、23日夜にはブラジルの複数の主要都市でも抗議行動が予定されている。

 ボルソナロ氏と批判合戦を繰り広げているマクロン氏は23日、気候変動に対するブラジルの立場について、ボルソナロ氏がうそをついたと非難した。

 フランス大統領府は、ブラジルも加盟している南米の関税同盟、南部共同市場(メルコスル、MERCOSUR)とEUの自由貿易協定を阻止すると表明した。

 マクロン氏は22日、アマゾンの森林火災は「国際的な危機」であり、今週末にフランスで開かれる先進7か国(G7)首脳会議(サミット)で最優先課題として議論すべきだとツイッター(Twitter)に投稿。これに対しボルソナロ氏は、「植民地主義者の思考」だと非難していた。(c)AFP/Carlos Fabal, with Allison Jackson in Rio de Janeiro