【8月22日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は21日、同国を訪れたボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相との会談で、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)がEU側との離脱協定なしで実行され、大きな混乱が生じることを避けるため、双方が改めて合意を締結する可能性はあると述べた。

 メルケル氏は、英・アイルランド国境をめぐる問題の解決策が見つかれば、離脱合意は「30日」以内に実現し得るとの見方を示した。ジョンソン氏にとっては希望の光となる発言。

 ジョンソン氏は、テリーザ・メイ(Theresa May)前英首相とEUがまとめた英・アイルランド国境に関する「バックストップ」計画を受け入れない姿勢を崩さず、英国は経済の混乱という犠牲を払ってでも10月31日にEUを離脱すると警告してきた。

 バックストップ計画は、英国の北アイルランド地方とEU加盟国であるアイルランドの間で「ハードボーダー(物理的な検問所の設置を伴う厳格な国境管理)」の復活を防ぐための仕組み。厳格な国境管理が復活すれば、北アイルランドでの宗派間対立が再来する恐れがある。

 メルケル氏はバックストップについて、英国と他のEU加盟27か国が将来的な関係を定めるまでの間、「単一市場の一体性」を保護するための「代替措置」にほかならないと指摘。解決策は「これから2年あれば見つかるだろうと言っていたわけだが、これから30日で見つかるかもしれない。可能性はある。そうすれば、正しい方向に一歩進むことになる」と述べた。

 ジョンソン氏は、「30日間という超高速の日程」を歓迎すると応じ、「非常にうれしく思う」と語った。(c)AFP/Frank ZELLER