【8月21日 AFP】2022年W杯カタール大会(2022 World Cup)、アジア2次予選に臨む中国代表のメンバーに、同国スーパーリーグの広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)に所属するブラジル出身のエウケソン(Elkeson)が招集された。中国に全くルーツを持たない選手が代表に選出されるのは、これが初めてとなる。

 代表を率いるマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督は、以前から攻撃陣の駒不足を嘆いていたが、今回、その穴を30歳のブラジル出身選手で埋めることを決断した。エウケソンは、2013年から中国国内でプレーを続けたことで代表入りの資格を取得。代表では「艾克森(Aikesen)」の漢字表記を使う。

 サッカー中国代表の帰化選手としては、他にイングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)にも所属した英ロンドン出身のMFニコ・イェナリス(Nico Yennaris)がいるが、こちらは中国人の母親を持っている。

 今回はエウケソンとイェナリス、そしてスペイン1部リーグのRCDエスパニョール(RCD Espanyol)に所属する武磊(Lei Wu、ウー・レイ)ら35人が、9月10日の敵地でのモルディブ戦に向けて招集された。

 代表レベルで苦戦の続く中国では、エウケソンを皮切りに、今後は帰化選手増加の流れが加速するとみられていて、こちらもブラジル出身のリカルド・グラール(Ricardo Goulart)とフェルナンジーニョ(Fernando Henrique da Conceicao 'Fernandinho')のFW2人、英国出身DFのティアス・ブラウニング(Tyias Browning)が帰化を予定していると報じられている。

 22年W杯開催国のカタールを筆頭に、サッカー界では帰化選手を積極的に活用している国は多いが、中国はこれまでそうした流れに抵抗してきた。

 中国版ツイッター(Twitter)の「微博(ウェイボー、Weibo)」で1600万人のフォロワーを持つ人気解説者は、国民の不満を代弁するかのように、「はあ。中国サッカーを気にかける人たちの気持ちが分からないのだろうか」「やりきれないね」と書き込み、投稿には無数のコメントが付いている。(c)AFP