【8月19日 AFP】米国は太平洋における軍事的優位性を既に失っており、同盟国を中国から防衛するのは困難となる恐れがあると警告する報告書を、豪シドニー大学アメリカ研究センター(United States Studies Centre at the University of Sydney)が19日、発表した。

 報告書は、米軍を「危険なほど過度の負担を課された」「衰退する軍隊」と評し、中国と敵対するには「準備不足」だと厳しく指摘している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の政権下で、中国の侵略の脅威に直面する同盟国を米国は守らないのではないかとの懸念が高まっている。しかし、この報告書は、たとえ米国に同盟国を防衛する意思があっても、実際に支援するのは困難かもしれないことを示唆している。

 報告書は米政府について、「戦略的な債務超過」状態に陥っていると指摘し、数十年間に及ぶ中東での戦争、党派対立、投資不足によって太平洋の同盟諸国を危険にさらしていると批判。「対照的に、中国は先進的な軍備への大規模投資の結果、軍事力で地域の秩序に挑戦する能力をかつてなく発達させている」と述べている。

 特に重要なのは、中国が命中精度の高い弾道ミサイルや介入阻止のシステムに投資しており、そのため紛争地域への米軍の速やかな展開が難しくなると考えられる点だ。この優位性を利用して、中国は米軍到達前に台湾や日本の施政下にある島々、南シナ海(South China Sea)を占領する恐れがあると、報告書は指摘している。(c)AFP/Andrew BEATTY