【8月13日 AFP】韓国の首都ソウルで、北朝鮮から脱出した女性とその幼い息子が自宅アパートで死亡しているのが見つかった。同市警察が13日、明らかにした。地元メディアは、2人は餓死したとみられると報じている。

【特集】買い物する親子、マンションに住む夫婦、遊園地の少女…北朝鮮で暮らす人々

 母親と息子(6)の遺体は、先月31日に発見された。当局は、死後約2か月が経過していたとみている。

 同市冠岳(Gwanak)警察署は、「殺人や自殺の形跡はなかった」と明かし、検視結果を待っていると説明した。

 韓国に暮らす脱北者は当局からの補助金の受給資格があるが、北朝鮮とは全く異なるソウルの社会に溶け込むことに苦労する人もいる。

 東亜日報(Dong-A Ilbo)によると、40代とみられる母親は2か月前に、自身の銀行口座から3858ウォン(約330円)を引き出していた。家賃やガス料金は1年以上滞納しており、遺体発見時、冷蔵庫は空だったという。

 同紙の報道では、女性は中国とタイを経由して2009年に韓国入り。韓国系の中国人男性と結婚して中国に転居するも離婚し、昨年息子と一緒にソウルへ戻ったが、職に困ったとされる。

 韓国経済はアジア第4位とはいえ、近年では貧困や社会的孤立に起因する一家死亡の報道が後を絶たない。

 2017年の政府統計からは、脱北者の自殺率が韓国人全体に比べて高いことが分かる。支援団体はその理由として、脱北者らが抱える心的外傷や孤立、経済的困窮を挙げている。(c)AFP