【8月13日 AFP】多数の未成年の少女を性的目的で人身取引したとして米国で起訴され、勾留中に自殺したとみられる米富豪のジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)被告(66)について、ウィリアム・バー(William Barr)米司法長官は12日、勾留施設内での「深刻な異常事態」だと述べた。また被告が死亡しても共謀者らに関する捜査を継続すると明言した。

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 連邦刑務所を管轄下に置くバー司法長官は、エプスタイン被告が勾留されていたニューヨークのメトロポリタン矯正センター(MCC)の安全管理が十分でなかったことに「非常に驚き」、「率直に腹が立っている」と怒りをあらわにした。

 さらに「この施設で今回の件に関連する深刻な異常事態があったことが明らかになりつつあり、徹底的な捜査を求めている。米連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省監察総監室が現在、捜査を行っている。われわれは起きたことの真相を突き止め、説明する責任がある」と述べた。

 米NBCニュース(NBC News)によると、FBI捜査官らは12日朝、米領バージン諸島(Virgin Islands)のリトル・セント・ジェームズ(Little St. James)島にあるエプスタイン被告の邸宅を捜査した。

 FBIは、厳重警備の施設内でエプスタイン被告がどうして自殺を図ることができたのか捜査している。同被告は数週間前の先月にも独房内で意識を失った状態で発見されており、首つり自殺を図ったとされていた。

 米紙報道によると、有力政治家や著名人らと長年にわたり交友関係のあったエプスタイン被告は、自殺の監視対象から外れていた。また施設の人員不足により看守らの勤務時間が超過気味だったことや、原則に反してエプスタイン被告が1人で収監されていたことも報じられている。

 看守らの労働組合は12日、数千人もの欠員が出ていることから、米国中の刑務所や勾留施設が「危険な状況」となっていると指摘した。

 被告が自殺する前日には、米政財界の著名人との性行為を強要されたと主張する女性の証言に焦点を当てた法廷文書が公開されていた。エプスタイン被告に対する刑事訴追は被告の死によって終了されるものの、バー司法長官は共犯が疑われる人物については引き続き捜査を行っていくと明言。「共犯したいかなる人物も安心はできないだろう」と述べた。(c)AFP/Peter HUTCHISON