【8月13日 AFP】イスラム教シーア派(Shiite)系反政府組織フーシ派(Huthi)との内戦が続くイエメンで、暫定政権との対立が決定的となった南部独立派「南部暫定評議会(STC)」の指導者は11日、サウジアラビアを仲介者とする政権との和平交渉に応じる用意があることを明らかにした。

 STC系の武装勢力「セキュリティーベルト隊(Security Belt Force)」は第2の都市アデン(Aden)で暫定政権軍と死者を出す激しい戦闘を繰り広げた末、10日にアブドラボ・マンスール・ハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)暫定大統領の宮殿や軍基地を占拠した。

 この戦闘により、2014年に首都サヌアを制圧したフーシ派と戦っている暫定政権軍とSTC系セキュリティーベルト隊の対立が鮮明となった。前者はサウジアラビアの支援を受け、後者はアラブ首長国連邦(UAE)によって訓練を受けた。セキュリティーベルト隊による大統領宮殿などの占拠について暫定政権は、UAEが後ろ盾となった「クーデター」だと非難している。

 だが、11日にSTCのウェブサイトに投稿された演説の英訳によると、セキュリティーベルト隊の戦闘員の多くが支持するSTCの指導者、アイダルス・ズバイディ(Aidarus al-Zubaidi)氏は、戦闘はSTCの指導者らの暗殺を計画し、STC支持者を挑発することでSTC解体を狙った暫定政権軍が引き起こしたとしつつ、アデンでの休戦に全力を注ぐと発言した。

 また、UAE・アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザイド・ナハヤン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Zayed al-Nahyan)は12日、短時間サウジを訪問しサウジのサルマン国王(King Salman)と会談。会談後、ムハンマド皇太子は「イエメン人同士の争いを解決する唯一の方法」だとして、サウジアラビアを仲介者とする和平交渉を支持する姿勢を示した。大きな影響力を持つムハンマド皇太子はまたイエメンの各派に対し、この機を逃さず交渉して合意を目指すべきで、それがイエメンとイエメン国民の利益に最もかなうと述べた。(c)AFP