【8月8日 AFP】イスラエル国立図書館(National Library of Israel)は7日、チェコ出身のユダヤ人作家フランツ・カフカ(Franz Kafka)の散失していた遺稿や書簡などを公開した。文書の所有権をめぐって、イスラエルは所有者と10年以上にわたり法廷で争っていた。

「審判(The Trial)」や「変身(The Metamorphosis)」の作者であるカフカは、オーストリアの結核療養所にいる時、親友のマックス・ブロート(Max Brod)氏に自分の死後に手紙や原稿などを全て処分するよう頼んだ。

 1924年にカフカが死去すると、プラハ生まれで同じくユダヤ人のブロート氏は、カフカの願いはかなえがたいと感じ、39年には文書と共にナチス・ドイツ(Nazi)占領下のチェコスロバキアからテルアビブに逃れた。
 
 その後、ブロート氏は遺稿の中から多くの作品を出版、カフカが20世紀の文豪の一人と呼ばれるまでになった成功の立役者となった。

 1968年にブロート氏が死去すると、図書館の広報担当者が「カフカ的」と呼ぶ物語が始まった。残されたカフカの文書コレクションは散逸、一部は盗まれてドイツで売りに出されたこともあった。

 図書館は7日の記者会見で、カフカのコレクションを集めてイスラエルで保管するために2008年3月から奮闘してきたと述べた。(c)AFP